主
催:(財)ロマン・ロラン研究所
協賛:
みすず書房 後援:関西日仏学館◎
フー・ツォン(傅聡) プロフィール
一九三四年上海に生まれる。著名なフランス文学者・翻訳家である
父・傅雷
(フー・レイ、一九〇八〜一九六六)の影響を受け、七歳からピアノを始める。
上海工部局交響楽団の指揮者で、すぐれたピアニストでも
あったイタリア人、マリオ・パーチに師事。
一九五三年、上海交響楽団との共演でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第五番『皇帝』」を演奏
し、
デビューを飾る。
一九五四年ポーランドに留学し、ワルシャワ音楽院のズビグニエフ・ジェヴィエツキに師事。
翌
年の第5回ショパン国際ピアノコンクールでアジア人として初めて第三位、マズルカ賞を受賞。
一九五九年よりロンドンを拠点に世界各地
で演奏活動を続ける。
一九六〇年代の中国の政治闘争の中で、父・傅雷が母と共に悲劇的な死を遂げ、
二十年以上祖
国に帰ることができなかった。一九七九年以降は毎年帰国し、演奏会を開くほか、
北京や上海の音楽学院で学生たちの指導に当たってい
る。
TIME誌で「今日生存する最も偉大な中国人音楽家」と評されるなど、
スコアを緻密に研究した知的で情感豊
かな演奏は、世界的に高い評価を受けている。
日本では、ショパン『ノクターン全集』が『レコード芸術』誌の一九八〇年度レコードアカ
デミー賞を受賞。
エリザベート王妃国際ピアノコンクール、ショパン国際ピアノコンクールなどの審査員を務め、
イ
タリア・コモの国際ピアノ教育財団でも教鞭を執っている。
近年は主に別府アルゲリッチ音楽祭出演のために来日しているが、
ヘ
ルマン・ヘッセに「奇跡」と称えられた演奏を待望する声は多く、
今回京都における一夜限りのリサイタルは大きな反響を呼ぶことになる
だろう。
◎フー・ツォンが語る「父・傅雷とロマン・ロラン」
フー・ツォン氏の父・傅雷は、一九二〇年代末にパリ大学に留学し、
文学と美術史を学ぶ中でロマン・ロランの思想に触れました。
帰
国後、『ジャン・クリストフ』『ベートーヴェンの生涯』『ミケランジェロの生涯』『トルストイの生涯』
を次々に翻訳・紹介し、戦乱と
革命の時代を生きる中国の学生・知識人に大きな影響を与えました。
幼時から父の薫陶を受けたフー・ツォン氏は、ロランの描いた芸術家
像を自らの理想とし、
芸術と人間性の調和や、東西両文化の融合を追求してきました。ピアニストとしての円熟期を迎えた氏が、
父
の生涯を振り返りながら、ロマン・ロランの精神と東洋との紐帯について語ります。
ロ
マン・ロラン
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ご
あいさつ
三つの文明(Chine:Japon:Europe)の出会い
魯迅の『阿Q正伝』をヨーロッパに初めて紹介したロマン・ロラン、
そしてロランの『ジャン・クリストフ』全訳を日中戦争下の中国青
年に紹介したフー・ツォンの父:フー・レイ。
この世界を結ぶ輪が、激動と苦難に満ちた長い歴史を経て、
いま
フー・ツォンの日本コンサートによって完成されようとしています。
「日本ロマン・ロランの友の会」が設立されて60年、この記念事業
のために、皆さまのご協賛を賜りますよう、
心からお願いを申し上げます。
(ロ
マン・ロラン研究所理事長 西成勝好)
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財
団法人ロマン・ロラン研究所:
『ジャン・クリストフ』『魅せられたる魂』で知られるフランスの
ノーベル賞作家ロ
マン・ロラン(一八六六〜一九四四)、
彼の平和・地球主義を後世に伝えるため翻訳と研究に半世紀をかけた
宮本正
清(一八九八〜一九八二)が一九七一年に京都に設立した財団法人である。
http://www2u.biglobe.ne.jp/rolland/
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サ
イトの編集責任は西垣正信にあります
下はフー・ツォン先生 十数年前のイギリスラジオでの演奏録音リンクです。